地震のような極限体験は、心身ともに多大なストレスを伴います。ストレスをマネージするのに有効な方法を、ドラッカースクールでセルフマネージメントの講義を教えているハンター先生が英語で紹介してくれました。その日本語版を
1)トラウマのメカニズム
人間の脳神経系統がトラウマをどう処理するかを理解し、その理解の上で対処法を考えることが大切です。地震のような強烈な実体験をすると、(生存本能などをつかさどる)脳の「サバイバルセンター」が、厳戒態勢に入ります。その厳戒態勢がいつまでもつづき、平常に戻らなくなってしまったときに問題が起きるのです。
2)平常心が取り戻せない時の症状
脳が平常に戻らなくなってしまった時、次のような症状が発生します:
- 身体に力が入っている状態(例えば、歯をくいしばっている、肩など大きな筋肉がこわばり凝り固まっている)
- いらいら、気が短くなり怒りっぽくなる
- 眠れない
- 圧倒されてしまい、途方に暮れる感じ
- 食欲不振
- 頭痛
- ちょっとしたことに恐怖を感じたり、パニックしたり、不安になったりする
- 平常感が乱れ、不安定な感じ
- 「自分が自分じゃない」感じ
- たえず心配している
- 落ち込み
- ひきこもり
- 動きがとれない、効果的な活動ができない
- 身体に痛みがある
3)3つの対処法
神経系統を普通の状態に戻すために実践できる、簡単な方法を紹介します。
#1 最も簡単な方法
ゆっくり、長く、深く鼻で呼吸する。神経系統の「落ち着き」反応を刺激する効果があります。
#2 グラウンディング法[Groundingとは「地に足をつける」、「大地につながる」というイメージです]
1. 座ったり、寝転んだり、自分にとって楽な姿勢をとります。
2. 身体がいす、床、ベッドなどに触れている所、つまり支えられている部位に、気を向けます。特別なことを考えるのではなく、身体が支えられているところに注意を払います。
3. 身体が「支えられている」という感覚を意識し続けながら、体内で何が起きているかを気にします。大半の方は、気持ちが落ち着いてくる感覚を伴うと思われますが、しびれやあたたかさ、ぷくぷくした感覚、感情が解放され、気が抜けた感覚、場合によっては身震いを感じることも。このような感覚は、神経が平衡感覚を取り戻しつつあることを示し、いいことなのです。
4. もし圧倒されてどうにもならない気持ちなりかけたら、目をあけて部屋を見渡してください。目の前に見える具体的なモノに焦点をあわせます。ゆっくりと深く呼吸します。
5. 必要に応じて、何度でも繰り返します。
#3 イメージ法
イメージ法を使って、神経系統の落ちつきのメカニズムを刺激する方法があります。その簡単な方法として、気分が落ち着くお気に入りの音楽を想像します。ベートーベンの「第九」でも何でもかまいません。
1. この音楽をコンサートホールで聞いているのを想像します。
2. 聞きながら身体の中で落ち着いている箇所に気を振り向けます。
3. 何が変化したか気づくようにします。グラウンディング法の3)にもあった、何かが抜けていく感覚に気づくかもしれません。
ぜひ、これらを試してみて他の方にもご紹介ください。
みなさまが無事でお元気に過ごされていることを祈念しつつ。
Jeremy Hunterより。